UniverにAI Agentを統合したオンライン編集機能について、公開前に確かめる範囲と証拠の残し方を解説します。編集状態、権限、Macブラウザーの操作、異常復旧を実際の利用場面に沿って点検できます。
Univer AI Agent統合の公開前受け入れ確認は実利用から組み立てる
W3CはWCAG 2.1の達成基準2.4.3で、フォーカスの移動順序を扱っています。フォーカス順序の達成基準が示すように、画面に機能が表示されることだけでは操作性の確認になりません。公開前には編集状態、Agentの操作範囲、Macブラウザーでの操作、異常からの復旧、回帰の証拠を個別に確かめてください。デモが一度成功しただけで、統合を公開可能と判定するのは避けます。
この確認リストは、Univerを使った製品の統合開発者、Agentの動作を受け入れるQAエンジニア、公開前に権限やテスト記録を確認する技術責任者向けです。対象とするmacOSやブラウザーは、実際にサポートする範囲と利用者の環境に合わせて定めます。
公開対象の操作を利用者の流れに沿って選ぶ
まず、製品で提供する編集画面と利用者の目的を決めます。たとえば表計算で値を変更する、文書の一部を整える、プレゼンテーションの内容を更新するといった流れから、公開対象の操作を選びます。表計算を提供しない製品で、文書やスライドまで試験したことにする必要はありません。
各操作について、「利用者が指示すること」「Agentが実行すること」「最後に利用者が確認すること」を書き分けます。Univerの公式リポジトリと表計算のクイックスタートは、製品の基礎機能や導入の確認に役立ちます。一方、個別のAI Agent統合がどの指示を実行できるか、どのブラウザーで期待どおり動くかは、採用した実装と実環境で確かめる必要があります。
Univerのコア機能の説明やカスタムコマンドの拡張資料に記載された内容を、独自のAgent連携が標準で備わる証拠として扱わないことも重要です。公式資料で確認できる製品機能と、プロジェクトで追加した処理を分けてテスト範囲に記します。
編集前後の状態と権限を照合する
編集の正しさは、画面上の変化だけでは判断できません。Agentが触れるセルや文章の範囲、数式・書式の保持、保存状態など、対象データに応じて確認項目を決めます。
- [ ] 実行前の値、内容、書式、選択範囲など、必要な状態を記録する。
- [ ] 成功時に、指示した範囲だけが変更され、意図しない箇所が変わらないことを確かめる。
- [ ] 保存後に画面を開き直すなどして、表示上の結果と保存された内容を照合する。
- [ ] 取消時に、変更が残らないか、取消対象外の状態まで戻らないかを確かめる。
- [ ] 同じ要求を再度送ったとき、変更が二重に適用されないかを確かめる。
権限については、設計上の想定と実装済みの制御を別々に記録します。たとえば読み取りだけを許可する場面では、変更要求を画面から送れないだけでなく、許可されていない処理がサーバー側や連携処理で拒否されるかを確認します。削除や一括変更など、影響の大きい操作には確認を求める設計にする場合、その確認画面を通らず実行できる経路がないかも試験対象に含めます。
失敗時に処理を停止できるかも点検します。エラーを返したあとに後続操作を続行する実装なら、影響が広がらない停止条件があるか、ログから停止理由を追えるかを確かめます。
Macブラウザーの操作差を対象環境で確認する
Macブラウザーテストでは、「Mac対応」という一括判定ではなく、対象に定めたOS、ブラウザー、アプリケーションの組み合わせごとに結果を記録します。実行していない組み合わせの互換性まで、テスト済みと表現してはいけません。
| 選択肢 | 主な確認対象 | 判定に使う証拠 |
|---|---|---|
| 実際にサポートするMacブラウザー | フォーカス移動、ショートカット、スクロール、ダイアログ、画面配置 | OS・ブラウザーの版、操作記録、画面画像 |
| 自動化で利用するブラウザー環境 | 対象ブラウザーでの操作再現、テスト用データの分離 | 実行ログ、失敗時の画面、環境設定 |
| 手作業による確認 | 自動化では見落としやすい焦点表示やレイアウト変化 | 操作者、再現手順、実際の結果 |
これは環境の優劣を決める表ではなく、選んだ手段でどの証拠が得られるかを整理するものです。ブラウザー自動化の資料では、Chromium、Firefox、WebKitの各ブラウザーが説明されていますが、そこでの対応状況は、対象Mac上の特定ブラウザー版で製品が正常に動く証明ではありません。
実機では、セルや入力欄へのフォーカス、Tab移動、キーボード操作、スクロール、ポップアップの開閉、狭い表示幅での配置を実際の利用手順で確かめます。焦点が見えない、操作後にフォーカスが意図しない位置へ移る、ダイアログを閉じた後に編集を再開できないといった問題は、Agentの処理結果とは別の不具合として記録します。SafariのWebインスペクタに関するAppleの資料も、画面の確認や問題調査に利用できます。
ネットワーク切断と画面の中断を分けて試す
オンライン編集では、処理の途中で通信が切れる、利用者が画面を再読み込みする、タブが非表示になるなど、通常の成功経路から外れた状態が発生します。これらを一つの「エラー試験」にまとめず、何が止まり、どこから再開できるかを個別に確かめます。
- [ ] 操作中に通信を切り、画面表示と保存状態がどう変わるかを記録する。
- [ ] 再接続後に処理を再開する場合、再実行前に変更済みかどうかを確認する。
- [ ] 送信直後の再読み込みで、結果が未反映・反映済みのどちらかを識別できるようにする。
- [ ] 連続した送信を行い、同じ操作が重複適用されないことを確かめる。
- [ ] タブの表示状態が変わったとき、処理の継続・停止・再開が想定どおりかを記録する。
ページが表示中か非表示かを扱うPage Visibility APIの仕様は、タブ切り替えなどの状態変化をテスト設計に含める際の参考になります。また、試験の再実行を扱うテスト再試行の説明は、再実行が成功した結果だけを残すと初回の不安定さを見逃す危険を考えるうえで役立ちます。再試行を設ける場合は、最初の失敗と再試行後の結果の両方を保存してください。
テストデータやログイン状態が別の試験に混ざると、再現結果を正しく比べられません。ブラウザーコンテキストの分離方法を参考に、試験間で状態を共有する範囲を明確にします。実際のアプリケーションで分離できているかは、実行ログと保存データで確認します。
注意:再試行後に成功しても、最初の失敗が解消されたとは限りません。失敗時の入力、画面、通信・アプリケーションログを保持し、再試行の結果と混同しないでください。
用例と判定根拠を追跡できる形で残す
公開判定に使う記録には、少なくとも用例ID、対象環境、前提状態、操作手順、期待結果、実際の結果、証拠の保存先、関連する不具合へのリンクを含めます。OSとブラウザーはテスト実施時に確認した版を記載し、推測で補わないようにします。
- [ ] 成功・取消・再実行・権限外操作の記録を分ける。
- [ ] 操作前後の画面やデータを、用例と結び付けて保存する。
- [ ] 失敗した場合は、再現条件と調査に使ったログを残す。
- [ ] 実施していない環境や機能を、合格済みの範囲に含めない。
- [ ] 受け入れ条件と重大度は、製品のリスクや要求に応じて公開前に定める。
共通の合格率や一律の許容件数は設けません。たとえば誤ったデータ更新を許容できない製品と、見た目の軽微な差を別途修正できる製品では、公開判定の条件が異なるためです。編集器やブラウザーの更新後は、変更の影響を受ける用例を選び直し、同じ記録形式で回帰結果を残します。
よくある確認事項
UniverにAI Agentを統合した後、どこまでを公開前に試すか
製品として利用者に提供する操作を起点に範囲を定めます。Agentが変更する内容、利用者が確認・取消できること、権限外の要求を拒否すること、保存後に状態を照合できることをそれぞれ確認します。公式資料にある編集機能と個別のAgent実装は分けて扱い、試していない機能を公開対象の確認済み範囲に含めません。
AI Agentによる表計算の変更が正しいことをどう確認するか
実行前後の値や数式だけでなく、書式、変更範囲、保存状態も照合します。画面表示と保存データの証拠を用例に結び付ければ、見た目だけ合っていて保存結果が異なる状態を見つけやすくなります。取消や同じ要求の再送も試し、復元と重複適用の有無を記録してください。
Macブラウザーの回帰テストで何を記録するか
実際に試したOSとブラウザーの版を記録したうえで、フォーカス、キーボード操作、スクロール、ダイアログ、画面配置を確認します。主要な編集操作も実行し、期待結果と実際の結果を保存します。未検証のブラウザーや版まで「Macで動作する」と結論付けず、対象範囲を明記します。
異常が起きた後の復旧をどう受け入れ判定するか
通信切断、再読み込み、連続送信、タブ切り替えを分けて試し、処理の停止・再開・重複の有無をログと保存状態で確認します。再試行で成功した場合も初回の失敗記録を残してください。合格条件は製品のリスクと要求に合わせてチームで定め、根拠を用例と一緒に記録します。
実機での回帰が必要ならMac環境を比較する
手元の開発用Macだけで確認すると、チーム内で環境を共有しにくく、同じ条件での再現や並行した回帰確認が難しくなることがあります。一方、一般的なブラウザー自動化だけでは、対象のMac環境での操作感や表示差を確かめきれない場合があります。対象環境を継続的に用意できるチームは自社のMacを使う方法もありますが、公開前の一時的な実機確認には、Macをレンタルして検証する方法が適することがあります。
必要な環境や提供条件は申込前に確認し、実際に予定する試験用例で証拠を残せるかを基準に選びます。地域ごとの案内は日本向けの利用案内や米国西部向けの利用案内で確認できます。実際のMacブラウザー回帰を準備する場合は、nuvcloudの申込案内を確認し、対象ブラウザーと用例に合うテスト環境を選定してください。
Macブラウザーの回帰確認に、専有クラウドMacを活用しませんか
nuvcloudなら、専有のMac mini M4で実際のmacOS環境を使った動作確認を進められます。
ブラウザー操作や編集画面の検証に、リモートデスクトップからいつものMac環境へ接続できます。
よくある質問
UniverにAI Agentを組み込んだあと、公開前にどの機能を確認すればよいですか?
表計算、文書、プレゼンテーションのうち、製品で実際に提供する操作を利用者の流れに沿って選びます。Agentが変更する内容、利用者が確認・取消できる範囲、保存結果、権限外操作への応答を別々に記録してください。公式資料にある機能と、個別実装で成立した動作は区別して判定します。
AI Agentがオンライン表計算を編集した結果は、どうすれば正しいと判断できますか?
実行前の値、数式、書式、選択範囲、保存状態を記録し、Agentの実行後に同じ観点で照合します。成功だけでなく、取消後に状態が戻ることや、同じ要求を再送した場合に変更が重複しないことも確認します。画面表示と保存後のデータの両方を証拠として残すと、見た目だけの一致を合格とする誤りを防げます。
Macブラウザーの回帰テストでは、どの操作を優先して確認しますか?
対象として定めたmacOSとブラウザーの組み合わせで、フォーカス移動、キーボード操作、スクロール、ダイアログ、画面幅の変化を確認します。利用者が実行する主要な編集操作も通し、ブラウザー名とバージョン、OS、実際の結果を記録してください。未実施の組み合わせまで互換性があるとは扱いません。
Univerの統合で通信が切れたり、画面を再読み込みしたりした場合の復旧はどう確認しますか?
通信切断、再読み込み、連続送信、タブの表示状態変化を別の試験として行い、操作が停止するか、再開できるか、同じ変更が重複しないかを確かめます。画面の結果だけでなく、アプリケーションのログや保存データと照合してください。合格条件は一律に決めず、製品のリスクと要求に合わせて事前に定義します。